その"もの忘れ"、アルツハイマー病かもしれません。
2026プロジェクトを展開中!
専門医と一緒に学ぼう<前編>
00:00
MC)
誰にでも起こり得る、年をとってからの“もの忘れ”
ですが、本日は「年のせいじゃない“もの忘れ”」とはいったいどういったことなのか
認知症・アルツハイマー病の専門医の先生と一緒に考えてまいります
そして、こちらのステージですが
アルツハイマー病の初期症状を疑似体験できる「アルツハイム921号室」となっています
気になるところが皆さんあるかと思いますが、後ほど先生と一緒に触れていきたいと思います
また、会場内にはアルツハイマー病を学べるコーナーや
アルツハイマー病に関しての情報を得ることができる動画、光る脳オブジェなどを展示しております
会場でお配りしている、さきほどご紹介した2冊の冊子ですけれども
こちらは「診断」のものではございません
アルツハイマー病で、どんなところが影響を受けやすいのかを知るための
体験ツールとしてお使いいただきます
今日は、こちらの冊子を使って質問にも答えていただくのですけれども
「答え合わせ」ではなく「理解すること」を目的に使っていきたいと思っております
01:19
MC)
それでは、本日の先生をお呼びいたしましょう
京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻 教授の木下彩栄先生をお招きしました
拍手でお迎えください
C)
先生、よろしくお願いいたします
木下先生)
よろしくお願いいたします
MC)
早速なんですけれども、先生
今回のイベントのタイトルが「年のせいじゃない“もの忘れ”」ということなんですけれども
この「年のせいじゃない“もの忘れ”」とは一体どういったことなのか教えていただけますか
木下先生)
誰しも年をとると、やはり“もの忘れ”は出てくると思うのですけれども
心配な“もの忘れ”と、心配じゃない“もの忘れ”があるんですね
心配じゃない“もの忘れ”というのは、年のせいの“もの忘れ”なのですけれども
心配な“もの忘れ”というのが
アルツハイマー病などの認知症による“もの忘れ”が非常に心配なので
そちらの方を区別していただくようなことを、今日、学んでいただければと思います
02:21
MC)
アルツハイマー病というと、私の中では“もの忘れ”というイメージが強いのですけれども
先生、ずばり「アルツハイマー病はなぜ起きてしまうのか」というところを教えていただけますか
木下先生)
この冊子の右上に、脳の絵があると思います
この脳の絵に、紫色のポツポツがあると思うのですけれども
これが「アミロイドβ(ベータ)」というたんぱく質、老廃物なんですね
アルツハイマー病というのは、この「アミロイドβ」が溜まることによって
神経細胞にダメージを与えてしまうという、そういう病気なんです
「アミロイドβ」が溜まると
脳の海馬という記憶の中枢がやられやすくなりますので“もの忘れ”が始まります
そして、長い時間をかけて、色々なところに神経細胞のダメージが広がり
さまざまな症状が出てくるという
非常に長い経過をたどる病気、だということが最近分かってまいりました
MC)
「アミロイドβ」というキーワードが出てきましたけれども
その影響で脳がダメージを受けるということなのですが
このアルツハイマー病という病気の特徴を改めて教えていただけますか
木下先生)
これはゆっくりと進行いたします
初期の頃は「アミロイドβ」が溜まり始めている頃は、ほとんど症状がありません
ところが、長い時間が経って「アミロイドβ」が脳全体に広がる頃になると
さきほどお話しした“もの忘れ”が出てくるんですね
それが「軽度認知障害」と呼ばれる状態で、認知症になる一歩手前の「MCI」と呼ばれる時期です
「MCI」の時期というのは、生活に支障が無いのが特徴なんですね
“もの忘れ”はあるけれども、これまで通り生活はできているよ、という状態です
それが、何年か続きます
その後、ドンドンと生活に支障が出てきて、いわゆる認知症になるわけのですけれども
非常に長い時間をかけてゆっくりと進行しますので
最初の症状に気がつきにくい、ということがございますね
ですから、様々な症状は出てくるんですけれども
「最初の症状をつかまえて」そして「対策をする」ということが重要になってまいりました
04:37
MC)
ここまで「進行性である」ということと「早期発見が大事」というところ
2つの特徴についてお話しいただきました
そして、このアルツハイマー病による“もの忘れ”と、年齢による加齢による“もの忘れ”
どういった違いがあるのか、というところも知りたいところなのですが、いかがでしょうか
木下先生)
加齢による“もの忘れ”は、いわゆる「再生の障害」と言われています
つまり、脳の中に記憶はあるのだけれども、それをうまく取り出すことができない状態です
ですから、ヒントを与えられたり、何か別の機会に、ふっと思い出すことはできます
ところが、アルツハイマー病による“もの忘れ”というのは
脳の記憶をする海馬という組織が、もうダメになってしまいますので
新しいことを覚えることができないんですね
ですから、いくらヒントを与えられても思い出すことができないという症状があります
そのあたりが大きな違いですので
まずヒントを与えて思い出すことができるかどうか、というところも
ひとつポイントになってくるかなと思います
05:41
MC)
今、症状の特徴についてお話しいただきましたけれども
ここから実際に、冊子も使いながら一緒に皆さんと見ていきたいと思います
では早速、第1問目から参りましょう
こちらの「次の絵を見て、3つの言葉を覚えましょう」という質問です
3つの言葉、覚えてみてください
MC)
今覚えたばかりの言葉を思い出せるかどうか、ちょっと考えていただいてもよろしいでしょうか
先生、この記憶に関する質問は、どういった機能を見ているのでしょうか?
木下先生)
まず、この3つの単語を覚えて、パッと思い出すことができる能力というのは
「即時記憶」と呼ばれています
これはアルツハイマー病でもそれほど初期から侵されることはないんですね
後でさらに詳しくお聞きしますけれども、この冊子の一番最後に同じ質問が出てきます
この3つの言葉は何でしたか、という質問ですね
この時に答えられるかどうか、というのがキーポイントになります
これがいわゆる「近時記憶」というもので
数分から数日ぐらい記憶を保持して、途中で別の話や出来事が入っていても
どこか記憶の片隅にあって覚えていることがいられる、というのが「近時記憶」なのです
アルツハイマー病ではその「近時記憶」というのが一番最初に侵されると言われておりますので
皆さんも「即時記憶」はOKだったかもしれませんけれども
この3つの単語を、このセッションの最後まで覚えていられるかどうか、というのを
チェックしていただければと思います
MC)
それでは続いての質問です、第2問です
「今日は何年・何月・何日・何曜日ですか?」という質問です
これは皆さん、どうですか
先生、こちらの質問はどういった意図で聞いていらっしゃるのでしょうか?
木下先生)
これは解説にも書いてありますけれども「時間の見当識」というものを見ています
これはやはり、先程の記憶が、特に「近時記憶障害」が出てきますと
「何年・何月・何日・何曜日か」あるいは「今の季節が何なのか」ということが
ちょっと曖昧になってきます
こういったことがアルツハイマー病の初期に見られますので
こういった、日にちが曖昧になって病院に行く日を忘れちゃった、とか
習い事に行く日が分からなくなっちゃった、という症状があれば
少し注意が必要かなと思います
MC)
さあ、それでは続いて
「この形を手でまねしてみましょう」ということです、いかがでしょうか
木下先生)
こんな形です、これ医学的には鳩というふうに呼んでいます
鳩が裏を向くんですね、これもできますでしょうか、これはちょっと難しいです
あるいはですね、キツネを作ったり、平行四辺形を作ることがあります
皆さん、できておりますでしょうか、大丈夫ですかね
MC)
先生、こういったチェックがあるということですけれども
これはどういった機能を見ているのでしょうか
木下先生)
「視空間認知」や「構成の能力」というものを見ておりまして
アルツハイマー病でも、比較的早期に見られる障害のひとつです
こちらがやられますと、例えば車を運転していて車庫入れでこすってしまったりとか
そのような症状が出てきますので、ちょっと注意が必要ですね
あとは、地図が読みにくい とか、家具の配置で混乱する とか
そういったこともあるかと思います
MC)
先生、こちらは実際の診断でも良く使われるのですか
木下先生)
はい、よく使いますね
MC)
皆様いかがでしょうか、では続いての質問に行きたいと思います
「1分間で、できるだけ多くの動物の名前を言ってください」ということで
1分間、測っていきたいと思います
さあ、いかがでしょうか。
木下先生)
指折りして数えてください
ただし、子・丑・寅・卯…・のようにしてはダメですよ、ちゃんとーから考えてくださいね
MC)
そうですね、動物の名前が思い浮かぶとは思いますけれども
改めて聞かれると、なかなか思い浮かばないこともあるのかもしれないですね
皆さん、真剣に考えていらっしゃいます
先生、これは自分の脳の中で考えても良いですし、書き留めても良いですか
木下先生)
そうですね、実際の診察の場面では
脳の中で考えてもらって心理士の者が書き留める、ということはしておりますけれども
どちらでも、もちろん結構かなと思います
MC)
残り10秒ほどです
5秒前、4、3、2、1
はい、1分経ちました
しっかり時間があったように思いましたけれども
先生、こちらの質問はどういった意図があるのでしょうか
木下先生)
これは「言葉を思い出して口に出す力」を見ております
13個が、いき値(基準値)と言われておりまして
13個未満だとちょっと心配かな、ということですね
皆様、いかがだったでしょうか
15個ぐらいはありましたか
MC)
ちょっと私、怪しかったかもしれないですね
木下先生)
これは、動物の名前でやる場合もありますし、野菜の名前でやる場合もあるんですね
ただ、野菜の場合ですと、男性の方はちょっと不利になるということもあります
特に高齢の男性の方は、動物の名前でやることも結構多いです
こういった言葉がスムーズに出てこなくなりますと
どうしても「これ」とか「あれ」とか「それ」とか「あれやっておいて」とか
そういう指示語が増えてしまいますので
なかなかコミュニケーションという点では、問題が出てまいりますね
MC)
次が最後の質問となっております
はい、出てきました「最初に覚えた3つの言葉を思い出してください」ということなのですけれども
下を向いていらっしゃる方が増えたような感じがしますが、いかがでしょうか
思い出せそうでしょうか
先生、少し時間が経ってから思い返す、ということですよね
木下先生)
そうですね、ちょっと思い出せない、というような方も見られますね
これが最初にご説明させていただいた「近時記憶」というもので
一旦、覚えたことが
後からいろいろな干渉が入っても、記憶の片隅にあって思い出すことができる
というのが、非常に重要になってまいります
もしですね、これちょっと思い出せなかったなという方は
少しやっぱり、気をつけていただいて
専門の先生にちょっと相談したり、とかいうことも必要かもしれませんね
これがですね、やっぱり覚えていられなくなると
どうしても同じ話を繰り返したりとか
同じ質問を何度もしたり、ということにもつながりますので
家族の方もちょっと気がつきやすくなるかなと思います
ですから、そういった「近時記憶障害」というのがアルツハイマー病で初期に見られる
ということを、周囲の方も認識していただければと思います
MC)
ということで、ここまで質問形式で進めてまいりました
皆様、いかがだったでしょうか
今回ご紹介しているこちらの冊子は
質問形式でアルツハイマー病の初期症状をめくりながら学ぶことができる冊子として
ご紹介いたしました