乾癬Q&A
●乾癬について、患者さんからよく聞かれる質問について見てみましょう。
●治療を行う上で、ぜひ参考にしてください。
病気について
乾癬は「かんせん」という響きと、症状が見た目に現れることが多いため、乾癬を知らない人からは「何か特別な感染症なのではないか」「うつるのではないか」と思われがちです。
しかし、乾癬は感染症ではないため、まわりの人にうつすことはありません。
そのため、乾癬の患者さんと一緒にプールや温泉に入ることや、理髪店や美容院などで散髪・洗髪をしてもらうことも問題ありません。
ただ、周りの目が気になる場合は、行きつけの理髪店・美容院を決めてスタッフに事情を理解してもらった上で、お客さんが少ない時間帯に行くなど工夫をするとよいでしょう。
乾癬になりやすい遺伝的素因があることは解っています。親が乾癬の患者の場合、その子どもが発症する確率は欧米では20~40%程度であるのに対し、日本では4~5%ほどです。1)
発症するかどうかは、食生活や気候、ストレスの度合いなどの外的要因と、高血圧や糖尿病・肥満などの内的要因によるとされています。
1)日本皮膚科学会 乾癬の原因はなんですか?
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身体の皮膚の状態や症状の範囲を確認し、さらに検査をして判定します。医師はBSAやPASIといって皮疹の出ている面積や状態を計算したり、症状の重症度を点数化する方法を用いますが、患者さん自身が評価するSAPASIの評価方法もあります。軽症、中等症、重症の大きく3段階に分けられますが、自分がどの症状の度合いはどれなのか知っておくことが大切です。
日常生活について
身体の清潔を保つためにも入浴は大切ですが、長時間の入浴によって、かゆみを増すことがあります。また熱すぎるお湯も皮膚を刺激しますので、ぬるめの温度に設定する方が良いでしょう。また、身体をナイロン製のタワシなどで強めにこすったり、爪を立てて洗髪すると症状が悪化する恐れがあります。石鹼やシャンプーはよく泡立ててやさしく洗い、十分にお湯で流しましょう。
衣類などの刺激によって今まで症状がなかったところも乾癬になってしまうことがあります(ケブネル現象)。衣類は皮膚の刺激にならないように、綿素材のものを選ぶとよいでしょう。ポリエステルなどの化学繊維やウールはできるだけ避けましょう。 また、きつすぎる衣類は、生地と皮膚がこすれ、乾癬を悪化させてしまうことがあるので、ゆとりのあるサイズを選びましょう。症状の程度によっては、フケが目立たないように白っぽい衣服を選ぶのもポイントです。
冬場や季節の変わり目、入浴後の肌は敏感になり、乾燥しやすくなります。皮膚が外気に直接触れないように手袋を使用したり、クリームなどで保湿を心がけましょう。どのようなクリームを選んだら良いかや塗る順番などについては、処方薬との兼ね合いもありますから、医師に相談するようにしてください。
基本的に食事に制限はありません。ただ、乾癬は肥満やメタボリックシンドロームと何らかの関わりがあると言われており、脂肪や糖分の多い高カロリーの食事や刺激物、お酒は避けた方がよいとされています。肉より魚、緑黄色野菜を多めに食べるようにするとよいでしょう。
気分転換やストレス解消につながるので、適度に運動することは大切です。
また乾癬は、メタボリックシンドロームを合併しやすいと言われています。適度に運動をすることで、メタボリックシンドロームを含む生活習慣病(心臓病、糖尿病等)の予防にもつながります。
治療について
病院によってできる治療方法が違います。また、別々の治療方法を組み合わせたり(コンビネーション治療)、一定期間で治療法を変える(ローテーション治療)などによって治療の相乗効果を高めたり、副作用を減らすことも期待できます。乾癬の治療法は近年、どんどん変化していますから、今どのような治療法があるのか医師に相談してみるとよいでしょう。
民間療法で乾癬が治ったという体験談などを目にすることもあるでしょう。しかし、民間療法に治る根拠は今のところ見当たらないというのが現状です。民間療法に切りかえるため、病院で処方された薬をやめてしまい、結果症状が悪化してしまうことがあるのは事実です。大切な選択なので自分だけで決めず、医師に相談しましょう。
自分の判断で勝手に薬の量を減らしたり、中止してしまうと悪化してしまうことがあります。医師の処方はとても重要ですから、指示通りにきちんと治療するようにしましょう。薬について不安なことがあれば、医師や薬剤師に相談するとよいでしょう。
現在、乾癬を完治させる治療法はまだ確立されていません。
しかし、適切な治療によって病状をコントロールし、長期間症状が出ないようにすることも可能ですし、症状が消えるケースも少なくありません。 悪化を防ぐために、食生活を見直す、規則正しい時間に睡眠をとる、適度にリフレッシュしてストレスを発散させるなど、自身の状態に合わせて改善できることから取り組むようにしましょう。