食事療法のポイント
~糖尿病食の調整と食べ方のコツ~
治療の基本
糖尿病治療の目的は、高血糖が引き起こすいろいろな合併症を予防する、または悪化を阻止することです。
そのためには「インスリンの作用不足」を改善し、血糖値をできるだけ正常にしなければなりません。
治療は基本的に食事療法、運動療法、薬物療法の3つを組み合わせて行われます。
まずは食事療法と運動療法、生活習慣の改善を行います。それでも目指すべき血糖の目標に達しないときには、内服薬や注射薬による治療が行われます。
薬による治療を始めた後も、食事療法や運動療法は続けていきます。食事療法や運動療法をやめてしまうと、肥満が進んでしまったり、インスリンの働きが悪くなったりして、治療の効果が弱まってしまいます。

食事療法のポイント
糖尿病は食事からとった栄養が変化したブドウ糖が血液中に多くなる病気です。
したがって、食事の量や栄養素の配分を調節することにより、血糖をマネジメントすることができます。
また適切な食事は「インスリンの作用不足」を改善する効果が期待できます。
運動療法や薬物療法を行う時にも食事療法は必ず一緒に行います。

ポイント1. 自分の適切なエネルギー量を知り、とりすぎに注意しましょう。
1日に必要なエネルギー量に見合った摂取量を守ることが大切です。適切な摂取量は、個々の患者さんによって異なりますので、主治医に相談しましょう。
ポイント2. 目標は1日30品目以上。
指示されたエネルギー内で炭水化物、たんぱく質、脂質のバランスをとり、適量のビタミン、ミネラル、食物繊維をとりましょう。

ポイント3. 食事は1日3回、規則正しくとりましょう。
不規則な食事は血糖値の変動を大きくし、すい臓にも負担をかけます。
食事は規則正しく、ゆっくりとよく噛んで食べましょう。
糖尿病食の調整と食べ方のコツ
糖尿病食を作る時のコツ
食物繊維をたくさんとる。
食物繊維が多く含まれる根菜類などは、低カロリーで、しかも空腹感を満たしてくれます。
また、腸からの炭水化物の吸収を遅らせたりすることから、血糖値の急上昇も抑えます。
1日に20~25gの食物繊維をとることが望ましいとされています。
※日本糖尿病学会発行「糖尿病食事療法のための食品交換表」
肉類の脂肪をとり除く。
肉類は煮る、蒸す、網で焼くことで余分な脂肪をとり除くことができます。
料理に用いる油には植物油を。
動脈硬化予防のため、不飽和脂肪酸を多く含む植物油(サラダ油、オリーブ油など)を使用しましょう。
食塩の量を減らす。
肉減塩醤油や減塩みそを積極的に利用したり、醤油や食塩の代わりとして味付けにレモンやゆずを利用しましょう。
血糖値を上げにくくする食べ方のコツ
食後に起こる急激な血糖値上昇は糖尿病患者さんにとって好ましいことではありません。
しかし、食事の方法を少し変えるだけで、食後の血糖値を上げにくくすることができます。
ぜひ習慣として毎日の食事にとり入れましょう。

よく噛んで、ゆっくり食べる。
早食いをすると糖質が急激に吸収されてしまうので、ゆっくり食べるようにしましょう。また、よく噛むことで満腹感を感じやすくなります。

1日3食、規則正しくとる。
食事抜きはまとめ食いになりやすく、遅い食事は次の食事までの間が短くなり、ともに血糖値が上がりやすくなります。できるかぎり、1日3食、規則正しくとるようにしましょう。

1日の食事量はバランスよくとる。
1日3食をとっても、1回の食事量が多いと血糖値が上がりやすくなります。できるかぎり、1回1回の食事はバランスよくとりましょう。

糖尿病の食事療法と運動療法 ー無理なく続ける治療のポイントー
食事療法と運動療法は糖尿病治療の基本です。自分の症状に合った食事療法や運動療法を毎日の生活にとり入れましょう。
監修:
せいの内科クリニック 院長 清野弘明 先生
財団法人 太田綜合病院附属太田西ノ内病院 運動指導室 室長 星野武彦 先生
- 食事療法を行うコツ
- 無理なく続ける運動療法
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