運動療法のポイントと注意点
なぜ運動療法が必要なのか
運動療法は食事療法と組み合わせることで、より大きな効果が期待できます。
運動は、血液中のブドウ糖を消費して血糖値を下げる、肥満を解消して筋肉などでのインスリンの働きを高める、血液循環を盛んにして血管の老化を防ぐなどの効果があります。
ただし、患者さんによっては運動を制限しなければならない場合もありますので、運動療法を始める前に主治医とよく相談しましょう。


拝啓 人生の先輩方 「フレイルを予防する」
「フレイル」は要介護と健康の間の状態のことをいいます。高齢者の糖尿病治療の目的は、合併症を防ぐことだけではなく、要介護にならず自立した生活を送ることです。フレイルを防ぐための方法を知り、日常生活に取り入れましょう。
監修:
東京都健康長寿医療センター 糖尿病・代謝・内分泌内科 内科統括部長 荒木 厚 先生
- 「フレイル」は要介護と健康の間の状態
- フレイルはサルコペニア(筋肉減少症)と低栄養などで起こる
- 糖尿病患者さんにはサルコペニアやフレイルが多い
- レジスタンス運動を行い、食事に気を付け、フレイルを防ぐ
- フレイルを防ぐための生活上の注意点
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主治医とよく相談する
どのような運動をどの程度すればよいかは、個々の患者さんの年齢、合併症の有無、運動能力などを考慮して決められます。運動を始める前に、病院できちんと検査を受け、主治医や運動の指導者に適切なアドバイスを受けるようにしましょう。
運動をしてはいけない人の例
- 足に壊疽のある人。
- 血糖値が著しく高く、血糖コントロールが不良な人。
- 心筋梗塞や狭心症などの心臓病を患っている人。
- 進行した糖尿病腎症(腎不全) を患っている人。
- 重い神経障害(手や足に強い痛みやしびれ)がある人。
- 増殖性網膜症を患っている人。(眼底出血を起こしやすい)
- 感染症(発熱やだるさ)を患っている人。
運動療法のポイント
運動療法は、糖尿病のさまざまな症状を改善し、さらに動脈硬化の予防などの点でも効果があります。しかし、進行した合併症がある時には、運動によって病状を悪化させてしまうこともあります。
運動療法を行う際は、まず主治医と相談し、自分に合った運動と運動量を決定し、決して無理をせずに自分の体と相談しながら適切な運動量を継続することが大切です。
ポイント1. 主治医と相談しましょう。
どのような運動をどの程度すればよいのかは、個々の患者さんによって異なります。
運動を始める前に主治医に相談しましょう。
ポイント2. 有酸素運動※でエネルギーをしっかり消費しましょう。
- 有酸素運動(散歩、水泳、ジョギングなど)でエネルギーを確実に消費する。
- 少し汗ばむ程度の運動量で20分以上、週に3~5回、食後1~2時間に行う。
※有酸素運動は、ジョギングなどの持続的な運動に必要な筋肉(赤筋)を使った運動のことをいい、脂肪を燃焼させる効果があります。

ポイント3. 無理せず、適切な運動量を継続しましょう。

糖尿病の食事療法と運動療法 —無理なく続ける治療のポイントー
食事療法と運動療法は糖尿病治療の基本です。自分の症状に合った食事療法や運動療法を毎日の生活にとり入れましょう。
監修:
せいの内科クリニック 院長 清野弘明 先生
財団法人 太田綜合病院附属太田西ノ内病院 運動指導室 室長 星野武彦 先生
- 食事療法を行うコツ
- 無理なく続ける運動療法
- クロスワードパズルにチャレンジしてみよう!