リウマチとは
関節リウマチってどんな病気?
関節リウマチは、関節の炎症(※1)が続くことで軟骨や骨が破壊され、関節が変形したり、関節機能に障害が起こったりする病気です。関節が一度破壊されてしまうと、もとの状態に戻るのはむずかしいといわれているため、小さな症状でも見逃さないようにすることが大切です。関節リウマチが悪化すると、治療の効果が出にくい場合もあるので、早期診断・早期治療が重要です。
リウマチの原因
免疫システムが自分を攻撃してしまう病気
すべての原因が明らかになっているわけではありませんが、関節リウマチは自己免疫疾患のひとつであると考えられています。自己免疫疾患は、からだを異物から守るための免疫システムに異常が生じ、間違って自分のからだを敵とみなして攻撃することでさまざまな症状が引き起こされる病気です。関節リウマチでは、関節に炎症が起こることで痛みや倦怠感のほか、こわばりなどの全身にわたる症状が現れます。
炎症性サイトカインがさらなる炎症をまねく
関節の炎症の引き金となるのは、「サイトカイン」という免疫細胞からつくられるタンパク質です。なかでも、IL-6(インターロイキン6)やTNF-α(腫瘍壊死因子α)の影響は大きく、これらの「サイトカイン」が過剰に生み出されると炎症が悪化することがわかっています。
「サイトカイン」は細胞の表面にある受容体にくっつき、「炎症を起こしなさい」という信号を細胞核に送ります。その結果、炎症が起こり、「サイトカイン」が過剰に分泌されて、さらなる炎症につながるのです。この炎症が起こるメカニズムに注目して、最近では、IL-6やTNF-αの働きを抑制する治療薬である生物学的製剤も治療の現場で活用されています。
40代の女性に多く発症する病気
関節リウマチの患者さんは、日本に70万~80万人いるといわれています(※2)。女性に多い病気で、男女比はおよそ1:3との報告もあります(※3)。特に40代で診断を受けることが多く、60代までは年齢とともに患者さんの数が増えていくことがわかっています。
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こんな症状ありませんか?リウマチの症状
関節リウマチでよくみられる症状は?
初期の段階では、朝のこわばりのほか、関節の腫れや痛みが現れます。症状は左右対称に出ることが多く、腫れている部位がブヨブヨしていてやわらかいのも特徴です。症状が進行すると、関節が変形して動かせる範囲が制限されることもあります。また、関節の症状だけでなく、倦怠感や疲労感、微熱、体重の減少、貧血といった症状が見られる場合もあります。
早期診断と早期治療が重要なポイントに
軟骨や骨の破壊は、発症して半年~1年の早い時期から進行するといわれています。とはいえ、症状が進むスピードには個人差があり、症状がよくなったり悪くなったりを繰り返す患者さんもいれば、軽い症状がずっと続く患者さんも多くみられます。
また、一度破壊された関節はもとの状態には戻らず、さらに症状が進行すると日常的な動作がむずかしくなることもあります。ただし、早期からの積極的な治療によって、症状が落ち着いて安定しやすくなる(寛解)ことが知られています。この現象は「治療機会の窓(Window of Opportunity)」と呼ばれ、早期診断・早期治療の重要性を表しています。
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リウマチの検査・診断日常生活への影響
日常生活にはどんな影響がある?
関節リウマチになると、手や足だけでなく全身に不調が現れることがあります。次のような症状がないかチェックしてみましょう。
□ 朝目覚めると手がこわばっている。
□ 食事や洗顔などの日常の動作をスムーズに行えない。
□ 関節が痛くて眠れない。
□ 関節が腫れてブヨブヨしている。
□ 重い物を持つと関節が痛む。
□ 階段の上り下りで痛みが出る。
□ ビンのふたやドアノブを回すのがつらい。
□ だるくて力が入らない。
□ からだが鉛のように重い。
□ 眠気がして横になっていたい。
ある程度進行すると、関節リウマチの特徴的な症状が現れはじめますが、早い段階では「からだが重い気がする」「なんとなく痛む」など、ぼんやりとした不調であることも少なくありません。気になることがあれば、早めにリウマチ専門医に相談しましょう。