最近の治療ゴール
関節リウマチ治療の現場では、「寛解の達成と維持」だけでなく、痛み・倦怠感・こわばりといった主観的症状を改善し「よりよい毎日を過ごす」ことも目標に加えるべきだという考え方が広がりはじめています。最近の関節リウマチ治療において大切なこと、またこれから向かうべき未来について、関節リウマチ患者さんの調査データをもとに一緒に考えていきましょう。
新しい治療の考え方
関節リウマチ治療の現在とこれから
関節リウマチ治療の重要な目標のひとつは、「寛解の達成と維持」です。寛解とは、炎症がほぼ消失し、関節破壊の進行がおさえられ、身体機能の低下がない状態をいいます。現在の治療では、関節リウマチ治療の基本的な考え方である「目標達成に向けた治療(T2T:Treat to Targetの略)※1」のもと、この「寛解の達成と維持」を目指します。
そして最近は、「患者報告アウトカム(PRO:Patient Reported Outcomeの略)※2」という指標も、治療に取り入れられるようになってきました。「寛解の達成と維持」だけでなく、患者さんが感じる症状の度合いや生活のしやすさなども重視していこうという流れが広まってきたからです。
主観的症状が改善されているか、日常生活が送りやすくなっているか、仕事や趣味にしっかりと取り組めているか、精神的負担が膨らみ過ぎていないか、といったことも確認しながら治療が行われるようになってきています。
治療目標の「本音」と「現実」
関節リウマチの治療目標における本音と現実をみてみましょう。
「治療目標を掲げることは大切」と約9割の人が答えていますが、実際には約7割の人が「先生と治療目標のための話し合いが十分ではない」と回答しており、治療目標の設定に対する「本音」と「現実」にギャップがあることが分かります。
患者さんの本音は先生に届きにくい
では、本音の治療目標について、患者さんと先生との間でコミュニケーションはとれているのでしょうか。
現実は、多くの患者さんが医師に本音を伝えることは難しいと感じているようです。ここでは痛みを例に詳細を見ていきましょう。
先生と痛みについて話す際に、全体の約7割の人が「症状について話すとき、自分が不満を言っているように感じてしまう」と答えています。次いで、約5割の人が「遠慮して痛みについて詳細な話ができない」「痛みのコントロールについて話したいが、会話の中でそのタイミングがない」と答えています。つまり、患者さんの本音が先生に届きにくい現状があります。
「患者報告アウトカム」が取り入れられるようになったのは、この現状を変えようとする動きでもあります。あなたの声を先生と共有することは、治療の質を高めるうえでとても大切なこと。自分らしい日常生活を送るために先生と二人三脚で治療を進めていきましょう。
あなたが描く「良い日」を目指して
どんな毎日を過ごしたいか想像してみよう
あなたはどんな毎日を過ごしたいですか? 関節リウマチ患者さんの多くが目指す「あなたにとっての良い日とは?」を、たずねた結果を見てみましょう。
「良い日」とは、多くの患者さんにとって、痛み・こわばり・倦怠感といった3つの主観的症状からの解放を意味することがわかります。
特別なことではなく、当たり前のことを気兼ねなくできる毎日。そんな毎日を願う人がたくさんいます。あなた自身はどうでしょう。あなたにとっての「良い日」を描き、先生と共有してみませんか。