データでみる日常生活への影響
痛み・倦怠感・こわばりといった主観的症状を含む関節リウマチの諸症状は、患者さんの生活面や心理面にどのような影響を与えているのでしょうか?関節リウマチ患者さんの調査データをもとに、日常生活への影響とその対策を紐解いていきましょう。
関節リウマチがもたらすライフスタイルの変化
日常のなにげない動作にも影響が
「膝が腫れていて、立ったり座ったりが大変。階段の上り下りもひと苦労です」
「ペットボトルのふたが開けられず、家族にお願いしています。また、重い物が持てないので、買い物は主人についてきてもらっています」
「朝、起きてから10分くらい手が動かず、トイレにも行けません。歩けないほど足首が痛くなることもあります」
これらは、関節リウマチ患者さんの実際の声です。当たり前にできていたことができない、そんなストレスを感じながら過ごしている様子が垣間みえます。
それでは、関節リウマチ患者さんの日常はどのように変化したのか、生活面と仕事面に分けてみていきましょう。
生活面への影響
関節リウマチにより日常生活が困難になったと60%の人が答えています。
困難になった事例としては、家事39%、買い物24%など、これまであたり前にできていた日々の些細な動作への影響がうかがえます。
【困難になった事例】
- 家事 39%
- 趣味 31%
- 睡眠 28%
- 買い物 24%
- 運転 17%
仕事面への影響
就労状況において58%の人が雇用に影響があったと答えています。退職や職種を変えるなど、仕事にも大きな影響を与えていることがうかがえます。
【変化した事例】
- 退職 23%
- 職種の変更 17%
- パートタイムで働く 17%
仕事の取り組み方についても71%の人が作業効率が低下したと答えています。
自信の低下や会社を休む、勤務時間中の通院など、日々の業務にも影響が及んでいます。
【取り組みが変わった事例】
- 自信の低下 50%
- 会社を休む 22%
- 勤務時間中の通院 22%
周りの協力も得ながら、ストレスの少ない暮らしを目指そう
関節リウマチになる前と比べ、日常の負荷が増えている様子がうかがえます。家族や友人、職場の同僚など、身近な人の理解と協力があると、助かる場面は多いかもしれませんね。ひとりで気負わず、あなたらしく日々を過ごせる環境を整えていきましょう。
気持ちに与える影響
心配や不安で気分が落ち込む日も
ほんとうは旅行にも行きたいし、気軽にランチやカフェにも出かけたい。でも、日によって揺らぎやすい体調が気になり、せっかくのお誘いを断ってしまうことも······。痛み・倦怠感・こわばりといった主観的症状は、自分でコントロールすることがむずかしいため、前向きな気持ちになれないときもあります。
■希望通りの旅行プランを諦めた
→ YES 42%
■家族や友人との関わり方が変わった
→ YES 68%
自分らしく毎日を過ごすために
「言ってもわかってもらえない気がする」「心配をかけたくない」「自分でがんばって乗り切らなければ······」。関節リウマチの患者さんは、周囲への配慮もあり、ひとりで抱え込んでしまいがちです。それが、精神的負担となっているケースも多いのではないかと思います。たとえば、通勤や買い物にウォーキングを取り入れてみたり、アロマオイルを活用したマッサージなどでリラックスタイムを楽しんだり、お気に入りのリフレッシュ方法を日常に取り入れて、関節リウマチと上手に向き合っていけるといいですね。
関節リウマチによる痛み・こわばり・倦怠感は、日常生活や仕事へ影響を与え、さらにネガティブな気持ちの変化を起こしてしまうこともあります。精神的負担を軽減することは、治療を続けるうえで大切なこと。肩の力を抜いて、自分らしく過ごせる日々を目指す治療が、今はじまっています。最近の治療ゴールを次のページで詳しくみてみましょう。