■リウマチ体操でカラダ、健やか
痛まない範囲での運動は、治療にとても⼤切
⽇々の⽣活の中で⾝体を動かすことを意識
リウマチになると、痛みやだるさなどのために⾝体を動かすのがおっくうになりがちです。確かに痛みが強いときには、関節の炎症を抑えるために安静にする必要があります。しかし、⾝体をまったく動かさないでいると、筋⾁や⾻が弱くなり、関節も動かしにくくなってしまいます。リウマチの進⾏を抑えるためには、⾝体と相談しながら、適度な運動を取り⼊れることが⼤切です。
⾝体を動かすことには、さまざまな臓器の働きがよくなるなど⾝体によい影響があるだけでなく、やる気が⽣まれ、前向きな気持ちになるといった、⼼へのプラス効果もあると⾔われています。⾝体の様⼦や変化を知る意味でも、最低でも1⽇1回は、全⾝の関節を動かすようにしましょう。
基本的に運動は⽣活動作の中で。
⾜りない動きを体操で補う
普段のくらしの中で関節や筋⾁を動かす
リウマチになったあとも、仕事や家事を続けている⽅は多いですが、その⽣活を振り返ってみると、想像以上に⾝体を動かしていることに気づかされます。
料理をすれば、⾷材をつかんだり放したり、買い物に⾏けば、歩いたり荷物を持ったり。⽣活の中でくり返される、こうした何気ない“⽣活動作”が、実はリウマチの症状悪化を防ぐための⼤切な運動になっているのです。
とはいえ、料理中に関節をかばっていたり、そもそも買い物は通販任せだったりなど、⼈によって動かす関節は偏りがち。⽣活の中だけでは⾜りないなと感じる部分は、リウマチ体操で補うようにするとよいでしょう。特に代表的な体操を次ページから掲載しますので、ぜひ試してみてください。
やってみよう、リウマチ体操
リウマチ患者さんのために、⾝体を効率的に動かせるように考えられた「リウマチ体操」。
10回1セット、できれば毎⽇、午後と⼊浴後の1⽇2回⾏うことをおすすめします。
くれぐれも無理をせず、主治医と相談のうえ、⾝体の様⼦を⾒ながら⾏ってください。
準備:深呼吸
背筋を伸ばして、広げた腕を後ろにそらし、胸を開いて⼤きく息を吸います。腕を前に戻しながら息を吐き出しましょう。
ゆっくりと深い呼吸をすることが⼤切です。
肩の運動:肩の上げ下げ
両腕を⾝体の側⾯につけて、肩を上げたり下げたりします。
腕はだらりと⼒を抜いて、肩と肩甲⾻周りの筋⾁を使いましょう。
⾸をすくめないように注意して。
腕の運動:腕の上げ下げ
両腕を伸ばして前に上げ、曲げずにゆっくりと後ろへ引き上げます。
背筋を伸ばし、上体が前や後ろにぶれないようにしっかりと固定して⾏いましょう。
ひじの運動:ひじの曲げ伸ばし
両腕を⾝体の側⾯に下ろした状態から、ひじを曲げて右⼿で右肩に触れて戻す、以降、左⼿で左肩、右⼿で左肩、左⼿で右肩と、触れては戻す動作を順番にくり返します。ひじが前に回らないように意識して。
ひざの運動:ひざの曲げ伸ばし
背筋を伸ばして椅⼦に深く座り、腕は⾝体を⽀えるように椅⼦の両脇をつかみます。つま先を上に向け、反動をつけないようにして⾜を交互に⽔平になるまで曲げ伸ばしします。
⼿指の運動:開いて閉じて
⼿を開いたり、ぎゅっと握ったりをゆっくりとくり返します。また、⼿の指を揃えたり離したりもくり返します。左右とも同じように⾏いましょう。
腰の運動:左右に⾝体をねじる
正⾯を向いて⽴ち、両腕を⾝体の脇に沿わせた状態から、ゆっくりと左右交互に⾝体をひねります。反動をつけないように気をつけましょう。
湯川先生からのメッセージ
無理せず、楽しみながら人生を豊かにするために
リウマチ体操の目的は、単なるリハビリ効果だけでなく、前向きに病気と向き合い、「やりたいこと」を実現できる心と体に整えることです。過去との比較ではなく、現在の生活の質を上げ、未来の夢を叶えるために。どうか無理をせず、ときには家族や友人と一緒に楽しみながら、続けていただければと思います。
湯川リウマチ内科クリニック 院長
湯川 宗之助(ゆかわ・そうのすけ)先生
日本リウマチ学会リウマチ専門医・評議員。日本内科学会総合内科専門医。
早期診断と最新技術に基づく適切な治療で「リウマチは寛解できる」が信条。
「患者さんの人生の可能性を守ること」を旨とし、一人ひとりと向き合った診療を実践している。
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